夏の風物詩 その弐

乃里絵さんからのリクエストがありましたので不思議体験 第二弾を書きます。大学生の時に土建屋さんでアルバイトしたんですけど、主な仕事は家屋や工場の解体なんですよ。五人くらいで現場行って重機使って家とか潰して あとは 手作業で瓦礫の処理をします。いつものようにビルの解体現場を夕方で引き揚げる時、現場主任が「すぐ近くだから明日の現場の下見していきながら帰ろう」と 帰り道途中に建ってる一軒屋の前を通りかかりました。夕方六時半くらいでしょうか…古いトタン屋根で、少し崩れかかった家です。縁台のようなものもありますが木が朽ちています。狭い庭もありますが雑草が伸び放題です。ブッ壊すのは二時間程度あれば充分な建物です。「楽な物件だな、午前中で更地にしちまうベェ」 その場の全員のお気楽な笑顔が次の瞬間ひきつりました…生い茂った草むらの横のころがったポリバケツの手前にお婆さんがあぐらをかいた姿勢で座ってジーッとこちらを睨んでいます。後ろにあるはずのポリバケツが透けて見えてます。薄気味悪いなぁ…と思ったので事務所に戻り全員 塩を撒いて御清めしました。翌日
現場では昨日の薄気味悪さも忘れて 予定通り アッと言う間の解体作業完了 廃材をダンプに積んで ショベルカーで基礎のコンクリートを割って地面をならして作業完了…のはずでしたが。スコップで地面を掘っているときにカチンと何かに当たる音が。掘出してみると直径 高さ それぞれ1mくらいの大きさの樽…良くウイスキーとか熟成させてるようなのあるでしょう、そんたやつです…もしかしてお宝が…期待ワクワクで中を覗いた現場主任さんが『うひゃあ!』と声あげてのけ反りました。 樽の中身は あぐらかいて座った状態の人骨 でした。昨日のお婆さん…掘出してほしかったんでしょうか?