押しと引きの美学

曲の間でブレイク…つまり間…無音の部分があるとします。僕はその一小節の間がとても好きで自分で作った曲の中にも良くそのパターンを使います。例えば唄の途中とか間奏の時とかに、演奏が一旦止まります。そこで(いちにぃさんしぃ)と言う間が空きます。そして …しぃ の次の瞬間にグワ〜ン みたいなキメのパターンが…って、言葉で説明は難しいと言う意見は無視して進めます(笑) リズム屋のミュージシャンの立場で言うと、このブレイクの際の四拍をどうするか? ハイハットを踏むのか? クローズで刻むのか? バスドラを踏むのか タムまわすか、スネア一発か? そう言えば昔一緒にライブやったバンドのドラマーはやる事がなくなって『うわぁ〜お』って叫んでましたっけ。専門用語(笑)でフィルと言われるこのパターンはドラマーの個性やセンスが問われるモノです。カッコいいフィルをモノにしたときやキメパターンを持っていればバンド内ではたちまちヒーローです。ジャズにしてもロックだとしても昔の著名なドラマーには必ず音やパターンを聴けば『あっ!』って言う感じで誰
が叩いているかがわかったものです。レーベルとの契約の関係で名前を伏せなければならないような事がありますが、そんな時でもスタジオミュージシャンはちょっとしたフィルに『スタタッタントコタン』とか『ドコドコスタタンタタン』みたいな独自のキメフレーズを入れてさり気なく存在をアピールしたりしていました。僕の師匠はその気になればどんなスタイルもイケるドラマーだったんですけどソロをとる時は必ずお決まりのパターンを入れて演奏しました。それは聴いているお客様が期待しているからというのもありますがとてもとても難しくて誰もコピー出来ない…つまり絶対的な実力を他のミュージシャンに誇示しているわけです。あるいは一発屋と言われようが何だろうが、ヒット曲が一つ有れば充分。頻繁にテレビに出たりするわけでは無いのにキャリアを誇るミュージシャンやアーティストは、みんなこのキラメキパターンを持っています。言いかえればカリスマ性ともいえましょうか?一つを極める…やはりひたすら継続…が肝心でしょうね。みなさんは持ってますか? ここぞと言う時のパターン…ひとつあれば強いよ!絶対に。