北陸のエビは、いつもひとりで、せっせと詞を書き、暮らしていました。雨の日も風の日も雪の日も、辛いこと悲しいこと、嬉しいことを。
北陸のエビは、小さな夢を抱いていました。いつか、自分の書いた詞が、曲になったら良いのになあ。10年前に抱いた、ほんの小さな、小さな夢です。
北陸のエビはある冬の日、何もかもが嫌になりました。海の水はしょっぱくて、周りは敵だらけのようで、深い深い日本海に、沈んでしまいたいと、何度思ったことでしょう。
そんな時、冷たい海に体を預けながら、エビは素敵な出逢いに恵まれます。神奈川のエビとの出逢いです。
神奈川のエビは、これまたせっせと詞を書き、曲を作り、歌っていました。
北陸のエビは、神奈川のエビが作る歌が、とても好きでした。沢山のデモ音源の中、お気に入りの曲が沢山出来ました。
「ねえ、歌ってみない?」
神奈川のエビが作る歌は、聴き手によっていかようにも見方の変わる、それでいて確かなメッセージ性が散りばめられた、そんなスルメ曲(聴けば聴くほど味が出る曲)なのです。
つづく。