07 ねこ

2011021203114312974479031.jpg

ぐるぐる
それに逆らう道理はなく
ごろごろ
身をまかせていたかった

あたたかいことを
忘れたくはなくて
思い出しては
今日もうたた寝をする

ためしに鳴いてみた
陳腐さに嫌気がさした
集中できないくせに
拒絶と執着の繰り返し

無心に必死に
没頭したいから
邪魔しないで、そこの誰かさん

ぐるぐる
何かがストッパーの役割
どきどき
本能に耳を傾ける

むちゅうになることを
許せないみたいで
我に返って
寒さに背中を丸め込む

お腹は空いていた
背中が痒かった
あるいは寝不足で
不満を並べ替え

ふかふかの毛皮を含めて
肯定されたいの
邪魔しないで、そこの誰かさん

こそばゆい葛藤を
邪魔しないで、そこの誰かさん

はやく
安心して眠れる場所を
そこの誰かさん

———-

間違いじゃないと言ったのは
無表情かくす微笑みです
今日のスモッグも晴れる頃
小さな子猫を抱き寄せる

間違いじゃないと知ったのは
やはりくすぐったい君なのです
子猫は腕からすり抜けました
「さよなら」と小さく鳴きました

踏み込み前の予鈴も震えて
「知ることは愚かね」と電灯が笑う
たぶん枯れ葉も踊りを覚え
アンニュイに行きましょう
だましあいの今日でさえ

間違いじゃないと知ったのは
やはりくすぐったい君なのです
子猫は見かけなくなりました
相変わらず僕は
高層ビルのとりこです

インビジブルに行きましょう
肌寒い町で、君と君と
真っ直ぐの服着こなして

あの電車に乗りましょう
肩身狭い空の下、君と君と
ようやく呼吸
逆さまの大地で、君と君と

———-

数年前の深夜のコンビニにて。野良猫に車のボンネットを占領されました。あまりに気持ち良さそうに寝ている姿を見て、北陸の寒さもなんのその。心がほっかほか。